心の回復プロセスと、内観をすすめる理由
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回復のプロセス
傷ついた心の回復は、下記の経過をたどります。ここでは心の回復プロセスと、内観を強くおすすめする理由を、手前味噌ながら筆者のケース例にとり、お話します。
(初期)自覚、怒り
1.自覚 自分がACだと気づく
2.怒り 親を憎み恨む、怒る
(中期)悲しみ、許し、再生
3.悲しみ 溜まったネガティブな感情を味わいつくし、悲しむ(感情の浄化)
4.許し 親を許し、自分を許す(受容)
5.再生 新しい世界観が生まれる(認知の変化)
(末期)生き直し、成長
6.生き直し 幸せな人生を歩みはじめる(相互依存の人間関係、夢に近づく)
7.成長 新しいコミュニケーションを身に着ける(アサーティブなど、対等で中道な方法)
内観で溜まったネガティブ感情を無くす
このプロセス中、内観は、3~5部分を劇的にスピードアップしてくれるものでした。
しかも悲しみ、許し、再生は2回目の内観で1度に起こり、3回目、4回目と重ねるうち悲しみはどんどん減り、許しと感謝の気持ちは深まりました。
私はカウンセリングにも通いましたが、人間を根本的に信頼できなかったので、誰かに心を開き、涙を流すという事がそれまでできなかったんですね。
その点、内観は、面接者に話こそすれ、全ては自分との対話です。相手に好かれようとうそをつく必要もない。思ってもいないことを思う必要もない。ただ自分のペースで記憶をたぐりよせ、繰り返し、その記憶と対話するだけ。私にはこの方法が合っていたようです。
わ、きつそう、と思いますか。
確かに逃げ場はないですね。笑 でもやってみるとわかりますが、そこが一番いいところでした。向き合う前のほうが、自分の記憶はずっと怖いものだと思います。暗闇で想像するお化けや幽霊が怖いように。
人生は心の中身しだい
心がきれいになれば、人生は好転する
それまで人生は悪くなる一方でしたが、内観で劇的に回復が進み、以来、職場での評価が変わったり、お給料が上がったり、人に好かれるようになったり…。
まるで「幸運になるペンダント」の宣伝のようですが(汗)我ながら嘘のようでした。
しかし、人生が悪くなったのはなぜか、内観後よくなったのはなぜか、今ならよく解ります。
心の中にあるものが、外側の環境となって現れる
実は心は、生きていればどんどん汚れます。反省の習慣でもない限り、怒りや憎しみ、悲しみ、絶望など、悪い感情は溜まる一方です。人が生きる上で本質的に、煩悩から逃れられないから当然なのですが。
しかしそういう心のまま、生きていると本当に悪い事しか起きないのです。
身業、口業、意業
身口意のエネルギーが現象世界をつくる
仏教では身口意(しんくい)といい、行動したこと、言葉に出したこと、心で思ったことすべてが「業」のエネルギーを作り出すと考えます。この世では、自分が発したエネルギーと、そっくり同じものが返ってくる。それがこの世の仕組みというワケです。
心の中で「憎い」と思っているだけでも確実に「業」はできるところがショックですが、私はこの法則は真実だと理解しています。いいたいことは、憎しみや怒りを放置していると、それに応じた人生のままだという事です。
親への気持ちは感謝120%ですか?
ちょっと想像して頂きたいのですが、このまま生きていて、今のままで憎んでいる誰かを「心から許し」たり、自分のモヤモヤした気持ちを真正面から見つめて「心から号泣」したりできそうか。できるなら、どれくらい時間がかかりそうか。
そう思うと、内観で1週間の時間をとり、幸せが入ってきやすい心を作ることは、それほど無駄でもないと、納得していただけるのではないでしょうか。
親が亡くなってからも恨んでいる人を知っています。申し訳ないけど、私はそれを不幸なことだと思う。親はいなくなったのに、まだ憎しみに縛られている。そんな思いをした人こそ、一日も早く幸せになるべきなのに。
苦しみから抜け出そう
親に愛されなかった人が親を許す…本質的に難しいことです。しかし、それができた時、その人は自分がこの世に生まれてきた意味を悟るのではないでしょうか。僭越ながら、私はそんな感じでした。もう同じような人に内観教えなくちゃって本気で思いましたよ。
心が業を作る。マイナスのことばかりが心にあれば、マイナスの事ばかり起きる。本当に自分はそうでしたから。(~30代前半まで、本当に嫌な奴にばかり会いましたが、それは私がそれにふさわしい人間だったからでしょう。)
自立⇒依存⇒相互依存
心理学では人間の成長について以下のように説明します。
依存(甘える)
⇒自立(自分の事ができる)
⇒相互依存(自立した人同士が、更に与えあう、受け取りあう)
相互依存が、良好で成熟した「こころ」が作る人間関係のイメージです。
内観するほど、自分が親にかけてきた迷惑と、ありがとう…という暖かい気持ちが自然に浮かんできます。
人間は誰もが孤独です。しかし決して一人で生きてもいない。という事実。
相互依存 =ありがとう
「ありがとう」が深まるほど、「相互依存」の状態に近づく。
相互依存は、与えるだけでもだめなんですね。与えるけれど、受け取ることもできる。与えるばかりなら、それは「与えること」に依存した状態だそうです(!)
私にもこの1年でようやく自覚できたステップですが、受けとることは、本当に大事です。(人の好意、ホメ言葉など)「ありがとう」って感謝して受け取りたいですね。
幸せな人たちは、そのような心だから、ごく自然に幸運も受け取れるのではと思います。
内観して変わったこと
自分の中に、親のような、相談相手のような、親友のようなパートができました。
- 自分を好き
- 少しずつ現実を建設的に変えていく
- うまくいかないことは自分のせいだと思うが、分析はしても追いつめることはしない
状態です。
人を責める気持ちも減りました。自分を責めるほど、人のことも責めたくなるものだから。
つまり「ACとしての課題」は、ほとんど意識しなくなりました。
もちろん内観しないとあっというまに心が汚れるので、油断はできませんが。
ここに
- 対等なコミュニケーション
- 上手に自分の気持ちを伝える
- 相互依存
のプラス要素が増えていくと、「良好な人間関係の継続」になり、幸せが盤石になっていくのでは、と期待しております。
結論がいつも同じですみませんが、ぜひ内観なさってください。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
AC(アダルトチルドレン)からの回復プロセス
≪参考≫クラウディア・ブラックのプロセス
1.過去の痛みの正体を知る(子ども時代を「喪失」「見捨てられ体験」として見直す)
2.現在の痛みのサイクルに気づく(なぜか繰り返す苦しい生き方から抜けるには?)
3.自由への4つのステップ
ステップ1 過去の喪失を探る
ステップ2 過去と現在をつなげる
ステップ3 取り込んだ信念に挑む
ステップ4 新しいスキルを学ぶ
4.インナーアダルトを育てる(自分を支える5つの力を手にする)
・自分を認める力
・コントロールを手放す力
・感情を感じる力
・ニーズを見分ける力
・限界と境界を設定する力
5.過去の役割を手放す
6.新しい関係を作る(家族との関係や、新しい親密な人間関係を育てていく)
子どもを生きればおとなになれる―「インナーアダルト」の育て方
作者:クラウディア ブラック (著), 水澤 都加佐 (翻訳), 武田 裕子 (翻訳)
出版社:アスク・ヒューマン・ケア
発売日: 2003/7/30
メディア:単行本