内観療法とは(1)成育環境と心

内観はなぜ効果的か

心の作られ方を知れば納得

このページは内観がなぜそれほど効果があるのか、読んで納得したい人のために書きました。というか、それを自分なりに何とか説明してみようという試みです。

私は医療関係者ではないので、これらは自分を知るために読んできた本や、経験した内容にもとづく私見であることを了承ください。

心理学的な説明の部分は可能な限り専門家の本から引用し出典を明記しています。

本人のやる気勝負

自分の問題に目を向ける覚悟

内観に向いているのは、自分を見つめる覚悟が出来た人ではないかと思います。要は親のことは親のこととして、今回は自分のことを調べるぞという覚悟があればうまくいくと思います。

真剣に行うほど大きな効果

内観の前提として、どんな悩みであっても「自分自身にも、何か問題があるかもしれない」という思いを抱いてからでないと、高い効果は期待できないと思います。理由は単純に、

本人のやる気しかエンジンがないので、内観が成立しない

からです。

憎しみはあっていい

しかし、虐待された人がそう思うのは大変なことです。自分にも問題があるかも、とうっすらとでも思っていれば、一方で親が憎いなどの感情を持っていても大丈夫です。

無理やり自分が悪いと思ったりするようなものではないので(内観では親の悪い所は悪い所として、無かったことになどしない)安心してください。

生まれ育った環境と心の関係

心の中身は記憶、イメージ、感情

内観で心の中身を変えようというわけですが、心の中身とは記憶、イメージ、感情です。ここでは成育史と、その人の心に溜まった感情の関係について確認します。

無意識にはすべてが記録されている

私達は生まれ、成長してくる中でさまざまな経験をしますが、喜びの記憶も、悲しみの記憶も、思い出せないだけで、すべて私達の無意識(潜在意識)に記録され貯蔵されているといわれています。

思い出せないものを含め、様々な経験や感じた感情すべてが私達の心を作っています。

環境により違うネズミになる

http://www.flickr.com/photos/31718591@N04/2970402528

多様な刺激で豊かに育つと賢いネズミになる

ネズミの脳の発達実験で、3種類の環境×同じ栄養状態で1か月飼育したところ、A→Cの順に大脳皮質の重さ(発育)が良い結果だったそうです。

A 広くて遊び道具のある豊かな環境で12匹(多様な刺激のある環境)
B 広くも狭くもない遊び道具のない環境で3匹(普通の環境)
C 狭くて遊び道具のない貧しい環境で1匹(貧しい環境)

人間の発育にも環境は深く影響

ここで言いたいことは、人間の脳にも全く同じように、環境が発育に深い影響を与えるということです。

可愛がられた赤ちゃんが健康になる

「お母さん」の赤ちゃんへの大きすぎる影響

お母さんと赤ちゃんの密接な関係が持続される「母性的養育」は精神衛生の基本であり、これが赤ちゃんの心身発達に深刻な影響をもたらすことが解っています。

施設の赤ちゃんに高い死亡率

20世紀初頭、乳児院や孤児院などに収容されて育った赤ちゃんに、高い死亡率や発達の遅れが多いことが精神科医D.シャピンにより報告され、風邪を予防する医学的措置が取られたが効果は上がりませんでした。

愛を込めスキンシップをした赤ちゃんは健康に

そこで一部の施設で個人的な接触や愛撫などの看護方法を取ったところ、赤ちゃんの死亡率は減少したそうです。

薬や注射より、愛情をこめて撫でたり、スキンシップで赤ちゃんたちが健康になったという話は説得力があり、環境や愛情が私達の人格にもたらす影響の大きさがよく解ります。

図解雑学 発達心理学 

作者:山下 富美代著, 井田 政則著, 山村 豊著, 井上 隆二著, 高橋 一公
出版社:ナツメ社
発売日:2002/03
メディア:単行本

被虐待児の心=嫌な記憶で満杯

http://www.flickr.com/photos/26691915@N00/116382077

健康な子と虐待された子の心の中はまるで違う

このように私達は養育者の愛情を大きな心身の栄養素として育ってきますが、不幸にしてその環境に愛が少なかったり、虐待があれば、当然その子の心の内実は健康な環境で育った子とは違うものになります。

感情で一杯になって行く心

怒りや憎しみを抱くことが多ければ、怒りや憎しみで一杯に、悲しい思いが多ければ、悲しみで一杯になります。裏切られることが多ければ、人間に対する信頼のない心に。そしてもらった愛情が少なければ、カラカラに干からびていきます。

これは比喩ではなく、私自身の体験からの実感でもあります。

薄情・自己中な人の心は、潤いなくスカスカ

例えばあなたはびっくりするほど冷たい人や、薄情な人に驚いたことはないでしょうか。

恋愛でも誰かを心から愛する、好きになる事がなく、色々してあげても一向に満足せず、自己中心で冷酷、平気で人を捨ててしまい、顧みないような人です。

実は、私自身がそうでした。

心が土壌だとすれば、愛情は雨のようなものです。そういう人の心は、乾燥地のようなものでカラカラに干からびています。水分の代わりに恐怖や憎しみで固まり、愛情がキャッチできず、何をしてあげてもすぐ吸い込んでしまい、きりなく求めます。

図解雑学 心の病と精神医学

作者:影山 任佐 (著)
出版社: ナツメ社
発売日: 2001/12
メディア:単行本

心の栄養不良=成長がストップ

愛されなかった人は愛することが出来にくい

同じことが起こっても人により反応は違うのは、それぞれ経験してきたことが違うからですが、傾向として愛されなかった人はやはり自然に愛することは出来にくいものです。

心の栄養は愛情

私を含め愛情の薄い環境に育った人は、心が栄養不良と思えばわかりやすいと思います。

心の栄養は愛情です。

心の内実は、人により全く違う

もし心の状態が目に見えたら、虐待家庭の子どもの心はどれだけ普通と違う形になってしまっているかよく解るだろうな、と空想することがあります。

外見は同じように大人でも、心の内実が大人に成長しているか、子どものままなのかは、そのように実は相当個人差があります。

抑圧された記憶や感情が問題を起こす

つらい記憶は自然に抑圧される

このように心が出来てくるわけですが、思い出すのも辛いほど深刻な経験や感情は、無意識にその存在を、意識できない心の奥深くに沈められ抑圧されます。(ちなみに自分自身でその存在に気づけない程、重症です。)

抑圧されたものが問題になり現れる

しかし意識できなくなっただけで、「嫌な感情や記憶」が無くなった訳ではないので、潜在意識に溜まったそれらは、いつしか心身の不調、不健康な生活習慣、家庭不和など深刻な人生の問題となって現れてきます。

うつ病・各種人格障害・アルコール依存症を始めとする依存症、薬物依存、共依存、摂食障害、自傷行為、自殺願望、DV、虐待の再生産…

次ではそれが解りやすいように、管理人のケースをお話します。

ここまでのまとめ

  • 内観に向いている人は、自分の過去を見つめる覚悟が出来た人
  • 生まれ育った環境と脳や心の発育には、深い関係がある
  • 愛されなかった赤ちゃんは死ぬ
  • 心の栄養は愛情
  • 抑圧された感情が心に溜まり、問題を引き起こす

成育環境と心(2)へ続く