内観療法とは(2)心を治すため必要な3つのこと

心が病気になるしくみ

心の病気…必ず原因とそこへ至るプロセスがある

  • 心の病気になるプロセス

成育歴など何らかの経験
⇒心を病む原因の増大(マイナス感情の蓄積、ゆがんだ認知の形成)
⇒心の病気発症

心の治療とは、この二つをなくすこと

  • 心の病気の原因
  1. 心に膨大に溜めてしまった、マイナス感情(淋しさ、悲しみ、怒り など)
  2. 苛酷な経験により作られた、ゆがんだ認知(私は愛される資格がない など)

苦の原因は、自分の心

いずれも今はその人の内面の問題で、親や状況を責めても解決しないものです。

私の症状は過食症、アルコール依存症等でしたが、うつ病、原因不明の身体の痛みなど、心因性の多くの症状(人格障害もふくむ)に、この構図は当てはまると思います。

摂食障害の例 管理人の場合

私は都内に国の機関で働く母親と、フリーカメラマンの父親の長女として生まれました。アパートは台所に4畳半と6畳の小さな空間でした。

余裕なく、母子接触のない成育環境

共働きのため、0才から乳児保育と保育園に通っていました。そのため生まれた時から母と多くの触れ合いはない環境でした。これは3つ下の弟も同じです。

内気で弱いタイプ

食が細く、外で遊ぶより家で本を読むのが好きで、持病の扁桃腺もよく腫らしていました。

保育園の時、抜毛症(髪の毛を自分で抜いてしまう病気)になりました。抜毛症はストレスが原因といわれ内気な子どもに多いと言われています。

何とかしようとする子

「いい子」になり頑張る道

私は精神的には手のかからない「いい子」でした。というか、そうやって生きていました。

例えば母と一緒の時、電車で私は幼い頃から一度も座ったことはありませんでした。必ず母を座らせ、自分が立っていたものです。

AC典型の1タイプ(頑張り屋の長子)

母が喜ぶのでそうしていましたが、自分も座りたい!と言える関係ではなかったし、そう思う事すら自分に許していなかった気がします。それほど母に気に入られたかったのでしょう。

母…ひいきされ愛がもらえなかった子

母の愚痴のはけ口に

母は私によく父親の愚痴を話しました。幼い頃一緒に入ったマクドナルドで、私にこれから未来が一杯あっていいね…というのです。

私は母が父との結婚に不満や悲しみを抱いていることに衝撃をうけました。子供は大人よりずっと繊細で優しいので、私もずっと母が可哀相と思い続けていました。

ずっと母の愚痴を聞いていたため、高校生のころ友達から「母が父の悪口を言い出したらやめてと言う」と聞き本当に驚きました。親に「嫌だ」と言える関係、そして「嫌だ」と感じてもいい事の両方が、私には感覚として理解できなかったのです。

自分を踏みにじる相手に依存すると、心がおかしくなる

大人になり、母が私の人格を平気で踏みにじることに気づき、父よりずっとタチが悪かったのは母だったと解りましたが、そこに気づけるまではとても長い年月がかかりました。

母も早くに父親(私の祖父)を亡くし、祖母は長男の叔父ばかり可愛がるので愛情がもらえないまま育ってきたそうです。

父…親孝行させられた子

怒鳴り声におびえる日々

極貧家庭の長男だった父は中卒で働かざるを得ず、学歴に深い劣等感を持っていました。そして劣等感の強い人がそうであるように、母を愛する心の余裕がありませんでした。

父は直情的で暴力的でした。ちょっとしたことで激昂し、大声で怒鳴り私を怯えさせました。憂さ晴らしをしていると解ることもありました。何より、言葉が汚かったことが嫌でした。少し機嫌が悪いと、私を呼ぶ時にはおいドブス、という具合。

恐怖と不安の子ども時代

内観を繰り返し父への憎しみはなくなりましたが、暴力や怒鳴り声の恐怖は無意識レベルで身体に残っている気がします。しかし私は父の悲しみも感じ、父を可哀相だとも思い続けていました。

いま思うと、子どもなのに自分の心配が出来ませんでした。

自分の気持ちを話せない

—http://www.rubyplaza.com/item/640443-2066/Mex78ican-Pottery-Owl-Floral-Design

父が失踪

小学生の時、父は母に行き先を告げず失踪しましたが半年ほどして、下痢をして痩せこけて帰ってきました。メキシコで撮影をしていたそうです。ふくろうの置物とゴワゴワした毛布がお土産でした。誰もそれを歓迎していませんでしたが…。

こんな状況だったので、私は誰にも話を聞いてもらえない(ので話さない)子どもでした。

異常に生真面目で、頑張る子ども

転校した二つの小学校を6年間無欠席で通すほど生真面目でした。というか、そうすれば母に褒めてもらえると思っていました。

結果はまったく期待したものではありませんでしたが、まだこの頃は「いい子」をやめるという発想がなかったです。(自分が「いい子」を演じている自覚すらなかった)

みんな、バラバラ

家庭崩壊

私が中2の時、大黒柱の母親が長年のストレスでガンになり、実質家庭が崩壊しました。

父の孤児院発言

父はある夜、私を台所に呼び、母の死後この家(郊外に小さな一軒家を母が買ったばかり)は売り払い、私と弟は孤児院(児童養護施設)に入れると通知しました。

父がまるで家を維持する気がない事に驚きましたが、本気だとは理解していたので、衝撃を受けつつもそれ以上何も考えられませんでした。

裏切り

—http://favim.com/image/264025/

いい子の犯行

高校受験。私は行きたくなかった田舎の公立高校入試答案すべてを白紙提出し、滑り止めの私立女子高への入学を母に承諾させました。

私は進路希望を母に伝えるどころか、自分に感じることすら許さず生きてきましたが本心はちゃんとあったのです。自分でも受験当日まで気づかないほど深くにしまってはいましたが…。

脂汗を流しつつ、すべての教科で白紙答案と向き合い、受験をやり過ごした結果でした。

「あの高校は行きたくない。私の将来をもっと考えてほしい」

そういう会話ができることが一番よかったのでしょうが、それを言い出せる関係も、強さも、私にはありませんでした。

自分でも自分の気持ちがわからない!

自分に嘘をつきすぎた結果

今なら解りますが、私は甲斐性なく暴力的な父親と別れない母を憎みつつも愛情に飢えていたためその気持ちを封印し、母に気に入られたくて自分を押し殺して生きていました。

自分の気持ち(特に淋しさや悲しみ)や欲求を自覚し、それを伝える、という訓練をしないまま生きてきたのです。

摂食障害発症

—http://www.scrapsyard.com/scraps/heart-break/

入学してすぐ過食症に

幸い母は一命をとりとめ、念願の都内私立高校にも入学。ところがすぐ摂食障害になりました。10kg以上痩せ、タバコ、不登校、停学、万引き.…。自治体の精神保健センターへ。

原因は愛情飢餓

ずっと後になって読んだ、摂食障害治療に定評のある水島広子さんの本によれば、過食症の典型的なケースでした。

過食症の症状は、愛情飢餓そのものだそうです。自分ではまったく気付いていませんでした。

愛されていないことを無意識では知っており、苦しみつつ顕在意識ではそうは思っていない。というより、何が原因かわからないのです。

図解雑学 心の病と精神医学 図解雑学 心の病と精神医学 (図解雑学シリーズ)
影山 任佐 著 ナツメ社

溜まった感情と認知のゆがみ

心の病気=そこへ至るプロセスと、その結果

成育歴と自覚できない心の領域の関係を説明しやすいと思い、自分のケースをお話しましたが、依存症(アルコール・過食など)があったり、自分が人格障害やACだと自覚した人の過去はみな、このように何らかの苛酷さがあったのではないでしょうか。

このように人格障害や心の病気には必ずそこに至るプロセスがあります。

心の病気になるプロセス

成育歴など何らかの経験
⇒原因の増大(マイナス感情の蓄積とゆがんだ認知の形成)
⇒心の病気発症

感情と認知を変えることが回復のカギ

原因=マイナス感情と認知のゆがみ

その結果つくられた、様々な問題を引き起こす原因は以下の二つです。

  1. 心に膨大に溜めてしまった、マイナス感情(淋しさ、悲しみ、怒り など)
  2. 苛酷な経験により作られた、ゆがんだ認知(私は愛される資格がない など)

いずれも今はその人の内面の問題で、親や状況を責めても解決しないものです

ポイントは原因が当人の中で作られていくこと。家庭環境などは当人のせいではありませんが、現在の病気の原因もそれを解く鍵も、今は全部その人の心の中にあることです。

治療とは、この二つを大きく変えること

この二つを大幅に変えないと症状はよくなりません。言い替えると、この二つを変えられれば心の病気はなくなります。

  • マイナス感情→減らす
  • ゆがんだ認知→妥当な考え方に修正する

治療の最後に一番大切な、一つのこと

そして、その結果一つのことが深まるほど、心は健康になります。

  • ありがとう 感謝

きれいごとではなく、私自身、本心からそう感じました。

次では、内観がこれらのネガティブな感情や認知を変えるしくみをお話します。

ここまでのまとめ

心の病気には必ずそこへ至ったプロセスがある。

プロセスの結果心に生じた、原因は以下のとおり。

  1. 心に膨大に溜めてしまった、マイナス感情(淋しさ、悲しみ、怒り など)
  2. 苛酷な経験により作られた、ゆがんだ認知(私は愛される資格がない など)

溜まったマイナス感情をなくし間違った認知を修正すれば、心の病気は治る。
感謝が深まるほど、心は健康になる。

 内観療法とは(3)心が治るプロセスに続く