依存症の心(2)食べ物
—美味しいものを美味しく食べられるだけでも、幸せなこと。
思春期に摂食障害
私にとってもっとも早期に「心のおかしさ」が症状として出たのは16,7才、摂食障害(過食症)でした。
沖縄の精神科医やんばる先生のACのページによれば、典型例1です。父がアルコール依存以外は、私か?(◎o◎)と思うほど、私はこの例に当てはまっています。
働かない父親
父親は下戸で一滴も飲めませんが、我が家も父親の影響は本当に大きかったです。
私の父は、経済的には機能していない存在でした。父は私が幼少時から近年に至るまで多くの時間を「実質無職」として過ごしています。
1~2年一切仕事をせず、事務所にこもって写真を作っていたこともあります。
自分もひきこもったけど
でも私はそういう父を可哀相だと思います。自分がひきこもりから脱出してからは、尚更。人は人に触れ合ってしか変われないし、嫌なことがあってもいい事も必ずあるからです。しんどくなる気持ちも、すごくよく解りますけどね。
高校、摂食障害発症
過食症
最初は食べることを減らすアプローチでした。(過食症と拒食症では、かかる人のタイプが違うそうなので、以後は過食症だった私についての文章です。)
やせている存在への憧れ
当時16才の私は戸川純ちゃんに憧れており、退廃的で美しい彼女のようになりたかったことを覚えています。今見るとけっこう病的な雰囲気なのですが^^;
症状としては、体重が1年で13Kg近く落ち、健康診断で驚かれたのもこの頃です。
混乱し叫ぶ心
—過食症の解説サイトより。
愛情に飢えていた
いま思うと痩せた存在に憧れているのは表面だけで、根底には長年の愛情の飢えがありました。
そのままの自分が愛された記憶がない
思春期にスリムな存在に憧れるのは誰しもだと思いますが、「やせていなくては愛されない」と思いつめる子とそうでない子がいるのはなぜでしょうか。
元々「ありのままの自分には価値がない」と感じているから、そんな価値観を採用してしまうのです。どんな自分でも愛されると感じている子が、そうなるはずがありません。
心が混乱していた
当時の心を振り返ると、自分が嫌だ、悲しい…つらい…もっと安心したい、心を休めたい、愛してほしい…こんな感じでしたが、当時はまったく自分に何が起きているか解りませんでした。
依存症は心の病気
ストレスがかかると食べたくなるところは、アルコールやタバコと同じです。本当に依存症は心の問題です。問題が根深いため、当然すぐに治りませんでした。
カウンセリングへ
まったくよくならなかった
私は母が探してきてくれた民間のカウンセリング機関に通うことになります。
症状はまったくよくなりませんでした。
人に言いづらい症状
過食症の症状も、なかなか暗いものなので、この症状になった人とそのご家族の心の重さは、わがことのように理解できます。
異常な食欲
とにかく、食べることばかり頭にありました。
それも菓子パンのような、高カロリーでボリュームのある甘いものが食べたいのです。当時大好きだったのは、Y社の蒸しパン、クリームの入ったメロンパン、Mドーナツのオールドファッション、粉っぽくて腹持ちのいいものばかりですね。
心の荒れ
小さい頃は食が細くて母を心配させたほどで、肥満の家系でもなく、ほっておけば私は自然な体型です。当時の自分が心がひどく荒れていたことが感じられます。
症状が落ち着いた理由
症状が治まる
私の場合、症状が治まったのは、結局20代後半から30才にかけてです。
理由は母との和解
治った理由を考えると、険悪だった母との距離が近づいたことが大きいと思います。すべての依存症は心理的な病気ですが、私は彼より、本当は母からの愛の方がずっとずっと欲しかったからだろうと思います。
溝を作っていたのは自分
逃げてきた課題に向き合い、本心を見つめる
20代半ば、徐々に私は当時の交際相手と距離を置くようになって行きます。
両親にもらいたかった愛情を求めるだけの関係で、一緒に人生を歩いていく、同じ目標を共有するということがまるでなく、ただ年上の彼に甘えるだけ。そんな関係を続ける自分に耐えられなくなってきたのです。
つき合いたくもない人とつき合うのはやめる
私は彼から離れる決意をし、それに比例して少しずつ親子の会話が甦ってきました。
母親は、「悦ちゃんが帰ってきた」といい私は驚きました。溝を深め、距離を遠ざけていたのは自分だった、ママはそう思っていたんだ、と。
自分が嫌い、自分の気持ちが言えない
作者:水島 広子
出版社:日東書院本社
発売日:2009/12/24
メディア:単行本(ソフトカバー)
私は価値があるの
この本には摂食障害になる人の気持ちが丁寧に書かれておりとても参考になりました。
過食症になる人は自分を嫌っており、自分を嫌う気持ちを蓄積させています。
自分を価値ある存在と思えなくなる原因としては、
- 虐待を受けた
- 両親が不仲なのに離婚できないのは自分のせいだと思っている
- 批判的な親
- 世間体を優先させる親など
つまり、どのケースも「ありのままの自分でOK」という思いをしていないんですね。それで自分を嫌いになる…。私自身も、気づいていなかったことばかりでした。
本心が言えない人が過食症になる
でも、本当にそうだったと思います。自分を責めていると、30代になって指摘を受けたくらいですから。
過食症になる生き方は、自分の本心を他人に伝えず、人と本当に親しい関係を持たない…というものだそうです。
自分の気持ちに気づく。伝える。
—http://www.flickr.com/photos/34547181@N00/4204643866
過食症を治すコツ
自分の気持ちを認め、伝え、対人関係に変化を起こしていけるようになること。そうすれば、自分のことも相手のことも、好きになって行くそうです。
大切な人に、いいたいことを言う
言えるようになる必要がある気持ちは、今まで言いたくても言えなかった本音。淋しい、悲しい、嫌だ、…そういう本音を、自分にとって大切な人に対して言えるようになること。
感情それ自体は、ポジティブなものもネガティブなものも、感じることは事実であり、どれもいいも悪いもない。
焦らず気長に続ける
そういわれても私を含めこの病気になる人は、幼い頃から長年自分の気持ちを隠し、感じないようにする癖がついており、なかなかすぐにできるようにはならないと思います。
本当の自分の気持ちをキャッチして、適切に表現することは、焦らず気長に続けることで身についていくと実感しています。
内観が向いている症状
内観で愛情をうけとり直す
摂食障害は内観にうってつけの症状です。愛されたかった!淋しいよ!…そういう叫びがこの症状の奥にあるからです。
内観は何度も忘れていた愛情を思い出し、癒されていく部分があるので、そういう人にとても向いていると思います。この病気と内観の両方を体験した者として、いま苦しんでいる人には内観を強くおすすめします。
今苦しんでいる人へ
つらいですね。私もつらかったです。でも大丈夫、必ず治ります。焦らず、自分を責めないでほしいです。
内観すると、びっくりするほど心が楽になります。
自分のことも、親のことも、許せるようになる日は必ず来ます。そうなった時、過食は必要なくなります。内観はそこまでのスピードを早めてくれるといえば、何となく伝わるでしょうか。
患者さんの保護者の方へ
若年の患者さんの保護者の方に対しては、すすめたいと思ったらできればご自身が先に、または一緒に内観してあげて頂ければと思います。摂食障害に限らず、とにかく自分で行って自分で治してこい、というような姿勢では、まず難しいと思います。
人間関係の鉄則は、誰かを変えたければ、自分が変わる、です。
摂食障害は多くの内観研修所サイトに治癒例が載っています。ぜひこちらもどうぞ。