Kの指摘
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内観を知る
私が内観を知ったのは「プチ内観こころ塾」という本です。卒業後9年間続いたフリーター・ひきこもり生活から抜け出し、大手金融機関で派遣社員として働き始めて1年が過ぎた頃でした。
興味があった訳でもないのに、なぜその本を選んだのか覚えていません。(それが縁というものだと思いますが)
そこには著者が親しんだ「内観」について書かれ、自分を振り返る大切さが書かれていました。
しかしその時は内容に感銘を受けたわけでもなく、初めて聞いた「内観」という言葉が記憶に残っただけでした。
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酔った自分はおかしい?
その頃私は飲み会の多い職場にいました。
ある時、飲み会の翌日に、自分の酔い方が相当おかしいらしいと、一緒に働く男性達の口調や様子から察することになりました。
酔ってすごい事を口走っているようなのです。
皆、いくら聞いてもぼかして教えてくれませんでしたが、どうも酔って同じ職場の人へ辛辣な本音を口走っていたようでした。 しかし自分には全くその記憶がなかったのです。
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問題を自覚できない日々
同じ頃私は、先輩の派遣社員から嫌われ仕事がしにくくなる、悪口を言いふらされるなど、人間関係にも問題を抱え悩んでいました。しかし何が原因か、どうすればいいのか、当時の私にはまるで見当がつきませんでした。
うろたえつつ、なんとか会社に行っている日々だったのです。
実は20代の私はひどく自信がなく、家族や恋人、バイト先など、狭い人間関係の中で、卒業後10年近く社会から逃げるように生きてきていました。そのため当時の私は、野山の動物が都会に突然出て働き始めたようなものでした。
私はオフィスで関わる相手に配慮する、言葉を選ぶなど、人間関係の基本的なスキルをほとんど身につけていませんでした。そのため見よう見真似で必死に業務をこなししつつも、なぜいま自分が問題になっているのかが解らない状態だったのです。
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Kの指摘
そんな中、当時よく会っていた友達のKから、あることを聞かされ愕然としました。Kは笑いながら一緒に行ったファミレスで、私が酔った様子と話した内容を教えてくれたのです。
「こんな貧乏人の来る店」…店や客を貶める口汚い言葉のオンパレードでした。店の人に苦情を受けたらしく、Kは久々に出禁(出入り禁止)になったと相当ウケていました。
母子家庭に育ち、中学も卒業せず家出し、壮絶な人生経験を積んできたKは、人間のしょうもない面を見慣れていました。だから私の酔った様子も心から面白がりつつ、好意的に話してくれましたが、聞かされた私にはそんな余裕はありませんでした。
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衝撃
私はこの時初めて、自分の内面が大変な状態だと自覚しました。
それまでも顧客に言った言葉が元でバイト先をクビになったり、別れ際の言葉で元交際相手が、怒り狂って訴訟騒ぎになったり、次の相手にも交際費を返せと脅迫されたり…。
すでに私に言葉の失敗は数多く、そのどれもが深刻なものでした。
しかし自分はなぜ、人を傷つける言葉を不用意に言ってしまうのか。起こすトラブルの原因分析と究明が、自分ではまったくできていませんでした。
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問題を自覚
いま思えば、無理もない事だったとよく解りますが。
私は、自分の内面と真剣につきあい、しっかり見つめた事がなかったのです。自分という人間を、まったく解っていませんでした。
内観したことがなければ、たいてい誰もがそうなのですが、私のように「自分に嘘をつく」癖のある人は尚更それがひどく、「本当の自分から逃げ続けた」長年のごまかしはこのような問題となって噴き出してきます。
その時初めて、以下の事を自覚しました。
酔って自意識の抑制がはずれた自分の本音は口汚く、非情で思いやりがない。それが他人を傷つけ怒らせた。自分の内面には相当な問題がある。
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藁をもすがり、内観予約
これらを必死に考えた結果、言葉は心から出てくるのだから、言葉を変えたければ心を変える以外に道はないと思いました。
いまの心の状態のままでは、幸せな未来はないと直感し、焦りました。
記憶のすみの「内観」に思い当たり、体験できる場所を調べ、藁をもすがる思いで白金台内観研修所へ電話をかけました。
初めての人は必ず1週間受けるようにとの事だったので、正月休みを使うことにして1週間の集中内観の予約を取りました。
これが私の生まれて初めての内観になりました。
1回目 集中内観 へ続く